#04 一般社団法人 星とおひさま 葉山 里山の学校
/カテゴリ: インタビュー /作成者: staff-a
代表理事:下山美奈子さん 理事:下山良嗣さん
葉山の自然、動物、家族・仲間とのあたたかな繋がりの中、子ども一人ひとりを優しく受け止める葉山 里山の学校
葉山の豊かな自然に囲まれた優しい空間
四季折々の草花、ふりそそぐ優しい光、鳥のさえずり、美しい山々。幼稚園や学校と別の学び場として誕生した里山の学校はのどかで自然豊かな場所にあります。
学校であたたかく出迎えてくれるのは今回お話を伺った代表理事の下山美奈子さん・理事の下山良嗣さん、そして2頭のハーモニーホースのルーカスとタロウ。
多様な特性がある子どもたち、
定型発達と言われる特に大きな問題点は感じずに過ごしている子どもたち、
学校を楽しめている子どもたち、
学校がつらいと感じてしまう子どもたち。様々な子どもたちがこの里山の学校に通います。
子どもたちをありのまま受けとめ、家族が癒されるあたたかな繋がり
ホースセラピーの活動を行っていた下山ご夫妻。訪れる人たちの子育て、家族、人間関係についての悩みに触れ、本当に必要な事は何なのかを考え続けたといいます。そして辿りついたのが、様々な子どもたちを受けとめ、家族があたたかいつながりを持てる「学校」の設立でした。
「私たちは発達障害という言葉は使いません。障害じゃない、虹色だよ、と。子どもたちには色々な色がある、だから綺麗だよって」(美奈子さん)
学校にあるのは子どもたちに向けられる優しい眼差し、そして家族同士、仲間が繋がれる場です。
「学校には基本お子さんと保護者の方一緒にきていただきます。保護者の方にもこの学校でリラックス、ガス抜きをしてもらいたいと思っています。他のご家族や仲間と繋がる事で胸の内を話せたり、新しい事を発見できたりします。悩んでいるのは自分だけじゃない、と安心感を持てたり、情報交換ができたり」(美奈子さん)
医学・教育・心理各界の専門家
環境と空間の素晴らしさに加え、医学・教育・心理各界の専門家が学校の設立、運営に携わっている事も里山の学校の大きな魅力です。
明星大学教育学部教授 保健学博士である星山麻木先生、筑波大学大学院心理・発達相談室カウンセラーで精神科医の大賀たえ子先生が学校設立時から携わっており、専門的知見に基づいた様々なプログラム、カウンセリングを学校で受ける事ができます。
遊びと学び、多彩なプログラムが受けられる
活動は、平日プログラムと休日プログラム。平日プログラムには現在約20名の子どもたちが登録しています。1日の利用は多い時でも4人〜5人。ヨガ、自然科学、応用科学、音楽など遊びを通じた学びを親子プログラムとして受ける事ができます。
「遊ぶと学ぶが一体化することで、勉強しているつもりがないのに学びが生まれ、自然と知識も増えていきます。知識が増えることで、学ぶことの喜びも湧いてきます」(良嗣さん)
休日プログラムは各分野の専門家が講師となり、表現アートやクッキング、星空観測会など様々な内容のプログラムが開催されます。現在は月1回開催されており、約8家族が参加しています。「休日は午前中プログラムをしてお昼を食べて、その後ホースハーモニーを楽しんでもらいます。子どもたちは基本、好きに出ていったり、入ったりです」(美奈子さん)
里山の学校では「時間の制約」「場所の制約」を設けないという事も大切にされています。特性ゆえに他の子どもたちとコミュニケーションを取る事が合わないという場合は、別の時間を設けて子どもとご家族に足を運んでもらうこともあるといいます。「時間と場所に関しては相談に応じてという形になりますが、お子さんの状況に合わせて、必要な時にできる限り必要な事を、と考えています」(美奈子さん)
子どもたちと学校との糸を繋ぐために
現在、里山の学校は神奈川県、東京都の小中高校11校と提携。里山の学校で過ごした時間は出席としてカウントされます。里山の学校から子どもたちが在籍する学校に提出されるレポートには出席日数だけでなく、子どもたちの様子がたくさん書かれています。
「学校には学校の良さがあります。行けるのであれば行けたらいい、と私たちは思っています。子どもの様子を知りたいという学校の先生は多くいらっしゃるので、私たちは出席日数の報告だけでなく、この学校で子どもたちがどんな事をやったのか、どんな事に興味を持ったのか、どんな事に喜んでいたのか、子どもたちの様子をレポートで細かく伝えます」(美奈子さん)
「学校の先生は、そのレポートから子どもとの話のきっかけを見つける事ができます。そこから、少しずつでも子どもたちと学校との繋がりができ始めます。糸がつながるようになって、子どもたちが学校に1時間だけでも行ってみようかな、行ってみたという事も最近増えています」(良嗣さん)
「子どもたちは多様」多様な選択ができる自然な育ちが大切
「子ども達は多様でどんな才能があるか分かりません。昔は才能を見極めるために子どもたちを見つめるたくさんの目がありました。多様性を受け止める、のどかでおおらかな雰囲気も」「今のような詰め込みの生活でなく、時間になったらお腹が減る、ごはんを美味しく感じる、寝る時間になったら寝る、塾行くくらいだったら自分で勉強します、子ども達がそんな自然な育ち方をできるようになったら、子どもが大人になった時、今日はオーシャンファミリー、今日は里山に行きますって、楽しく選択しながら子育てができるようになるのではないかな」(良嗣さん)
「その子その子で合うところが違うから、海が好きな子は海で、山の好きな子は山で。自分のいいところを伸ばしていくという事が一番幸せなんじゃないかと思っています」(美奈子さん)
下山さんは、自然な育ちのために体の中の多様性にも着目し、“体が整えば心が整う“という視点のもと食生活に対するアプローチも行っています。
多様性を認め合う地域社会を目指して
「葉山は都心からこんなに近いのに、この自然とてもいい環境です」
人の心や体を育てる豊かな自然の中で、地域みんなが子ども一人ひとりに向き合い、子どもたちがあたたかい繋がりを持つ事ができれば、多様性を認め合う地域、社会に変わっていく、と未来を見据えて活動に取り組む下山ご夫妻。
「多様性が本当は大事という事に気がついたのは私達の世代、実践するのは次の世代、定着させるのが孫の世代、そういう長いスパンを持って子どもたちに向き合っていく、そうしていく中で地域も社会も面白くなるのでは、と考えています」(良嗣さん)
◯一般社団法人 星とおひさま 葉山 里山の学校 Data
- 代表:
- 下山美奈子
- 所在地:
- 葉山町上山口3084
- 活動日:
- ■平日プログラム
=祝日を除く毎週火・木曜日(10~15時)
各小中学校の登校扱いもあり(ご相談下さい)
■休日プログラム
=毎月、指定の土曜日または日曜日
※プログラム参加には入会登録が必要(ビジター・体験有り) - ホームページ:
- http://hoshi-ohisama-hayama.com